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会社設立

定款の作成方法|絶対的記載事項と相対的記載事項の違いから書き方まで

会社の憲法とも呼ばれる定款。絶対的・相対的・任意的記載事項の区分と、合同会社/株式会社それぞれのテンプレートを整理。

公開: 2026/4/27本記事には広告 (PR) を含みます

この記事で分かること

  • 定款の 3 種類の記載事項(絶対的・相対的・任意的)の違いと根拠条文
  • 株式会社・合同会社それぞれの定款テンプレート構成(章構成・条文)
  • 紙定款 vs 電子定款の 4 万円差 の根拠(印紙税法・電子文書の扱い)
  • 公証役場での認証手続きの流れ・所要時間・手数料体系(2022 年改定後)
  • 失敗例 4 つ(事業目的の曖昧さ・公告方法の選定ミス・任期未設定・実質的支配者申告漏れ)
  • FAQ:認証手数料の改定・実質的支配者リスト・公告方法変更コスト など
  • 公的個人認証・実質的支配者申告制度の最新情報

当記事は法務省・日本公証人連合会・国税庁・日本電子認証株式会社等の公式情報を参照したリサーチベース解説です。実際の手続きや個別事情は、所轄法務局・公証役場・司法書士・行政書士にご確認ください。

定款とは(会社法上の位置づけ)

定款は、会社の 基本ルールを定めた根本規則 で「会社の憲法」とも呼ばれます。 会社法 第 26 条 により会社設立時に必ず作成し、株式会社の場合は 会社法 第 30 条 に基づき公証役場で認証を受ける必要があります(合同会社・合資会社・合名会社は認証不要)。

会社法 第 26 条(定款の作成) 「株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければならない。」

定款の作成・認証・登記の各段階は会社法と商業登記法によって厳格に規律されており、記載漏れや形式不備は 登記却下 の理由になります。

紙定款 vs 電子定款の印紙税
紙定款の印紙税
4万円
電子定款の印紙税
0万円
電子文書は印紙税法 別表第一の課税文書に該当せず、印紙代4万円が不要出典: 印紙税法 別表第一・日本公証人連合会

定款の 3 種類の記載事項

1. 絶対的記載事項(必ず書く / 会社法 27 条)

書かないと定款自体が無効になる項目。会社法 第 27 条 が直接規定しています。

会社法 第 27 条(定款の記載又は記録事項) 「株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。」 一 目的 二 商号 三 本店の所在地 四 設立に際して出資される財産の価額又はその最低額 五 発起人の氏名又は名称及び住所

項目内容注意点
商号会社名(例: 株式会社○○)同住所同名禁止、商標調査推奨
目的事業内容5〜10 項目+「附帯関連業務」
本店所在地最小行政区画まで(例: 東京都渋谷区)番地まで書くと移転登記が必要に
設立時出資財産の価額資本金額 or 最低額1 円から可(会社法 27 条 4 号)
発起人の氏名・住所全発起人の情報印鑑証明書の表記に揃える
発行可能株式総数株式会社のみ(会社法 37 条)発行済株式の 4 倍以内が定石

合同会社の絶対的記載事項は 会社法 第 576 条 1 項 に別途規定されており、目的・商号・本店所在地・社員の氏名住所・社員全員が有限責任社員である旨・社員の出資の目的および価額の 6 項目です。

2. 相対的記載事項(書かないと効力が生まれない)

書くか書かないかは任意だが、定款に書かないとその規定が定款上の効力を持たない項目。会社法 第 28 条(変態設立事項)と各規定で個別定めがあります。

主な例:

  • 変態設立事項(現物出資、財産引受、発起人の報酬、設立費用 / 会社法 28 条)
  • 株式の譲渡制限(会社法 107 条 1 項 1 号)
  • 取締役会・監査役の設置(会社法 326 条 2 項)
  • 役員任期の伸長(株式譲渡制限会社で取締役 10 年・監査役 10 年 / 会社法 332 条 2 項)
  • 株主総会招集通知期間の短縮(非公開会社で 1 週間以内 / 会社法 299 条 1 項)

3. 任意的記載事項(書いても書かなくてもいい)

会社運営の便宜上書く項目で、定款に書かなくても会社規程として別途定められる。

主な例:

  • 事業年度
  • 決算公告の方法(会社法 939 条で官報・電子公告・日刊新聞紙のいずれかから選択)
  • 株主総会の議長・招集時期
  • 役員の員数(最低 1 名は会社法 326 条 1 項で確定)

株式会社の定款テンプレート構成

第1章 総則
  第1条(商号)
  第2条(目的)
  第3条(本店所在地)
  第4条(公告方法)

第2章 株式
  第5条(発行可能株式総数)
  第6条(株式の譲渡制限)
  第7条(株主名簿管理人)

第3章 株主総会
  第8条(招集)
  第9条(議長)
  第10条(議決の方法)
  第11条(議事録)

第4章 取締役
  第12条(員数)
  第13条(選任)
  第14条(任期)
  第15条(代表取締役)
  第16条(報酬)

第5章 計算
  第17条(事業年度)
  第18条(剰余金の配当)

第6章 附則
  第19条(設立に際して出資される財産の価額)
  第20条(発起人の氏名・住所)
  第21条(最初の事業年度)

合同会社の定款テンプレート構成

合同会社は 会社法 第 575 条以下 の持分会社規定が適用され、株主総会・取締役の概念がないため、定款も大幅にシンプル。

第1章 総則
  第1条(商号)
  第2条(目的)
  第3条(本店所在地)
  第4条(公告方法)

第2章 社員及び出資
  第5条(社員の氏名・住所、出資の価額)
  第6条(社員の責任)

第3章 業務の執行及び会社の代表
  第7条(業務執行社員)
  第8条(代表社員)

第4章 計算
  第9条(事業年度)
  第10条(利益の配当)

第5章 附則
  第11条(最初の事業年度)
  第12条(定款に定めのない事項)

紙定款 vs 電子定款(4 万円の差)

項目紙定款電子定款
印紙税4 万円0 円(電子文書は印紙税法の対象外)
認証手数料1.5 万・3 万・5 万円(資本金により変動 / 2022 年改定後)同左
謄本交付料約 2,000 円同左
必要環境プリンタ・印鑑のみマイナンバーカード・電子署名ソフト・PDF 編集環境

電子文書は印紙税法 別表第一の課税文書に該当しない ため、定款を電子化すれば印紙代 4 万円が不要になります。 freee 会社設立・マネーフォワード会社設立・弥生のかんたん会社設立 等の無料ツールを使えば、ツール側で電子署名処理が完結するため実質ノーコストで電子定款を選べます。

公証役場での認証(株式会社のみ)

合同会社は認証不要。株式会社の場合のみ、定款を公証人に認証してもらう必要があります。

流れ

  1. 定款の原案を作成
  2. 公証役場に 事前確認 を依頼(FAX or メール、無料)
  3. 公証人が修正点を指摘 → 修正
  4. 認証日に予約 を取り、発起人全員の身分証明書・印鑑証明書を持参
  5. 認証手数料を支払い、認証済定款を 3 部受け取る(うち 1 部が会社用)

所要時間と費用(2022 年改定後)

2022 年 1 月 1 日施行の 公証人手数料令改正 により、定款認証手数料は資本金額に応じて以下の 3 段階になりました。

資本金等の額認証手数料
100 万円未満3 万円
100 万円以上 300 万円未満4 万円
300 万円以上5 万円

さらに、令和 6 年(2024 年)10 月 1 日施行 の改正で、発起人 3 名以下かつ全員が自然人で、資本金 100 万円未満の小規模会社向けに認証手数料 1 万 5,000 円 の軽減特例が導入されました(公証人手数料令第 35 条)。 所要時間は事前確認 1〜2 日、認証当日 30 分〜1 時間。費用合計は約 5 万円(電子定款 / 標準ケース)/約 9 万円(紙定款)。

定款で迷いがちな項目

公告方法(会社法 939 条)

公告方法年間費用特徴
官報公告約 6 万円最安・伝統的、マイクロ法人の定石
電子公告0 円(自社サイト掲載)公告調査費が決算公告以外で発生する場合あり
新聞公告数十万円〜大手企業向け、コスト高

電子公告にすると決算公告以外(合併・組織変更など)で 電子公告調査機関の調査 が必要になり、ケースにより数万円かかる点に注意。マイクロ法人なら官報公告が無難。

役員任期

  • デフォルト: 株式会社の取締役は 2 年・監査役は 4 年(会社法 332 条・336 条)
  • 譲渡制限会社(非公開会社) は最大 10 年 まで伸長可能(会社法 332 条 2 項)
  • 任期伸長すれば改選登記の手間と登録免許税(1 万円 / 資本金 1 億円以下)を節約できる

事業年度

  • 個人事業との連続性を考慮するなら 12 月決算
  • 繁忙期と決算期を分けるなら任意の月決算(製造業の 3 月決算等)
  • 設立月によっては第 1 期が短くなるが問題なし(会社法 405 条 2 項で 1 年を超えない範囲)

よくある失敗例 4 つ

失敗 1: 事業目的が曖昧で銀行口座開設拒否

「IT 関連事業」「コンサルティング業務」とだけ記載した結果、法人口座開設の審査で 事業実態が不明と判断され開設拒否対策: 具体的な業務内容を 5〜10 項目で列挙。例「ウェブサイトの企画・設計・開発」「SaaS プロダクトの運営」など。末尾に「前各号に附帯または関連する一切の事業」を入れると将来追加分の登記が不要に。

失敗 2: 公告方法を「官報」にしたのに官報購読を忘れて決算公告漏れ

決算公告は 会社法 440 条 で年 1 回義務。官報公告を選んだのに掲載手続きを忘れ、過料制裁の対象(会社法 976 条で最大 100 万円)に。 対策: 公告方法は登記事項なので途中変更も可能(登録免許税 3 万円)。確実性を優先するなら定款変更で電子公告に切り替え、自社サイトへの掲載を忘れないようカレンダー登録。

失敗 3: 役員任期を未設定で 2 年ごとに改選登記費用 1 万円

譲渡制限会社にも関わらず任期伸長の規定を入れず、デフォルト 2 年で運営したため 2 年ごとに役員改選登記の登録免許税 1 万円 が発生。 対策: 定款に「取締役の任期は選任後 10 年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする」を入れる。マイクロ法人なら 10 年が定石。

失敗 4: 実質的支配者リスト制度への対応漏れ

2022 年 1 月 11 日から、定款認証時に 実質的支配者となるべき者の申告 が必須化(公証人法施行規則 13 条の 4)。マネーロンダリング対策の国際基準(FATF 勧告)対応。 対策: 認証日までに「実質的支配者となるべき者の申告書」を準備。発起人の議決権 50% 超を持つ自然人を特定。50% 超の者がいない場合は「該当者なし」として代表者氏名を記載。

Q&A:読者からの疑問

Q1. 2022 年・2024 年の認証手数料改定で何が変わった?

A. 3 段階の資本金別料金体系 に変更され(3 万・4 万・5 万円)、2024 年 10 月からは小規模会社向け 1.5 万円の軽減特例 が追加されました。 発起人 3 名以下の自然人、資本金 100 万円未満が条件。マイクロ法人は軽減特例の対象になる場合が多いので、認証予約時に確認すること。

Q2. 実質的支配者リストとは?

A. マネーロンダリング・テロ資金供与対策 として、議決権 50% 超を保有する自然人を特定し公証人に申告する制度(公証人法施行規則 13 条の 4)。2022 年 1 月から定款認証時に必須化。 認証当日までに法務省・日本公証人連合会の様式に沿って記入。発起人と実質的支配者が一致する場合がほとんどだが、形骸化した名義で出資する場合は要注意。

Q3. 公告方法を後から変更すると費用は?

A. 定款変更の株主総会特別決議 → 商業登記の登録免許税 3 万円(登録免許税法別表第一 二十四(一)ツ)。 官報公告 → 電子公告へ変更するケースが多い。変更後は自社サイトに公告ページを設置し、定款記載 URL と一致させる必要あり。

Q4. 電子定款を自前で作成する場合の必要環境は?

A. 以下が必要:

  • マイナンバーカード(電子証明書有効期限 5 年)
  • IC カードリーダー または 対応スマートフォン(マイナポータルアプリ)
  • PDF 編集ソフト(Adobe Acrobat Standard 以上、または法務省提供の申請用総合ソフト)
  • 電子署名プラグイン(freee/MF/弥生などのツール経由が現実的)

法務省の 登記・供託オンライン申請システム から提出。自前環境構築の手間を考えると、無料ツール利用が圧倒的に効率的。

Q5. 定款の保管期間は?

A. 会社の本店および支店に原本を備え置く義務(会社法 31 条)。閉鎖後も商業登記法 7 条の規定に基づき、認証から 20 年間は公証役場でも保管されます。 紛失時は公証役場で謄本再発行が可能(謄本交付料 2,000 円程度 / 認証から 20 年以内)。

Q6. 発起人と取締役は同じでなければならない?

A. 同一でなくても可。発起人は会社設立行為を行う者、取締役は会社経営の機関で、別人を指定できます。 ただしマイクロ法人では発起人 1 名 = 代表取締役 1 名のパターンが大多数。設立後に発起人は株主としての立場のみとなり、取締役と分離する必要はありません。

Q7. 「附帯関連業務」は必ず入れるべき?

A. 入れるのが定石。「前各号に附帯または関連する一切の事業」と末尾に記載すれば、本業に付随する周辺業務は目的追加登記なしで実施可能。 例: ウェブ制作業を本業として記載 → 関連する保守・コンサルティングは附帯関連業務として読み込める。完全な新規業種(物販・不動産など)は附帯関連と認められないため、別途目的追加登記(3 万円)が必要。

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まとめ

  • 定款は 会社法 27 条(株式会社)・576 条(合同会社)で絶対的記載事項を厳格規定
  • 株式会社は公証役場で認証必須、合同会社は認証不要
  • 紙定款より 電子定款で 4 万円節約 できる(印紙税法上の文書非該当)
  • 認証手数料は 2022 年改定で 3 段階2024 年 10 月から小規模会社向け 1.5 万円特例
  • 実質的支配者申告(2022 年〜)は定款認証時に必須なので事前準備
  • 失敗例 4 つ(事業目的曖昧・公告漏れ・任期未設定・支配者申告漏れ)は事前対策で予防可能
  • 役員任期伸長・公告方法・事業年度は将来の運用コストに直結するので慎重に

参考資料