フリーランス支援
フリーランスの契約書ガイド|業務委託契約で守るべき 7 項目
業務委託契約書のひな形と、報酬支払・成果物の権利・損害賠償・解除条項・秘密保持など、フリーランスが必ず確認すべき 7 項目を解説。
公開: 2026/4/27本記事には広告 (PR) を含みます
この記事で分かること
- 業務委託契約書で必ず確認すべき 7 項目
- 「準委任 vs 請負」の違いとリスク差
- 2024 年施行の フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス新法) の要点
- ひな形をそのまま使うときの落とし穴
当記事は厚生労働省・公正取引委員会・中小企業庁の公開資料を参照したリサーチベース解説です。具体的な契約レビューは弁護士へご相談ください。
まず押さえるべき:契約類型
準委任契約
- 指揮命令を受けず 役務(時間や作業)を提供 する契約
- 報酬は時間単位 / 月額単位が多い
- 成果物の完成責任は負わない(善管注意義務はあり)
- 多くのフリーランスエージェント案件はこちら
請負契約
- 成果物の完成 を約束する契約
- 完成しないと報酬請求できない / 契約不適合責任を負う
- 受託開発・受託デザインで多い
リスクは請負 > 準委任。準委任で受けられるなら準委任が安全。
契約書で守るべき 7 項目
1. 業務範囲の明確化
「Web サイトの開発」のような曖昧表記は危険。次の粒度まで落とす:
- 開発する画面数 / 機能リスト
- 利用技術スタック
- 含む / 含まないの境界(保守・運用・SEO 対応など)
範囲外作業を依頼された場合の追加費用ルールも書く。
2. 報酬・支払条件
- 金額(税込 / 税抜の明記)
- 支払期日(締日 / 支払日)
- 支払方法(振込 / 振込手数料負担者)
- 遅延損害金(年 14.6% 等)
- 経費精算ルール(実費 / 上限額)
フリーランス新法: 業務完了から 60 日以内 の支払いが義務化(2024 年 11 月施行)。
3. 成果物の権利帰属
- 著作権譲渡の有無
- 著作者人格権の不行使特約
- 二次利用 / 公開ポートフォリオ可否
- 第三者素材の利用許諾範囲
「すべての権利が乙から甲に帰属する」と無制限に書かれていると、後で自分の制作物を実績として使えなくなる。
4. 損害賠償の上限
- 損害賠償額に 上限規定 を必ず入れる(一般的には「報酬額を上限とする」)
- 故意・重過失を除く例外規定の有無
- 間接損害 / 逸失利益の除外
上限なしの契約は天井知らずのリスクを背負うことになる。
5. 契約解除条項
- 解除事由(債務不履行・反社条項など)
- 中途解約時の取扱(既履行分の支払 / 違約金の有無)
- 解除予告期間(通常 30 日前)
中途解約が無条件で違約金なしの片務契約は、自分側に不利。 予告期間なしの即時解除権を相手だけが持つ条項にも要注意。
6. 秘密保持(NDA)
- 秘密情報の範囲
- 使用目的の限定
- 開示できる例外(裁判所命令・親会社など)
- 契約終了後の秘密保持期間(通常 3〜5 年)
範囲が広すぎる NDA は将来の業務にも制約をかける。
7. 競業避止 / 引抜き禁止
- 競業避止条項の対象期間 / 地域 / 業種
- 引抜き禁止条項の有無
「契約終了後 5 年間競業禁止」のような厳しい条項は 無効になる可能性 が高いが、訴訟になると面倒。事前に削除交渉。
フリーランス新法の要点(2024 年 11 月施行)
| 義務項目 | 内容 |
|---|---|
| 取引条件の明示 | 書面 / 電磁的方法での明示が必須 |
| 報酬の支払期日 | 業務完了から 60 日以内 |
| 禁止行為 | 受領拒否 / 報酬減額 / 返品 / 買いたたき / 不要購入強制等 |
| ハラスメント対策 | 発注者側に防止措置義務 |
| 育児介護等への配慮 | 6 ヶ月以上の継続契約で配慮義務 |
これらに違反すると 公正取引委員会 / 中小企業庁の調査・勧告対象。 契約書がフリーランス新法に対応しているかを確認。
ひな形を使うときの落とし穴
無料ひな形(freee / 弁護士ドットコム / 経済産業省 等)はあくまで叩き台。 そのまま使うと次のリスク:
- 業界 / 業種に固有の論点が抜ける
- 自分の立場(受託 / 委託)が逆になっている
- 数年前のひな形でフリーランス新法に未対応
- 自分にとって不利な条項が標準で入っている
重要案件(年額 500 万円以上 / 長期 1 年以上 / 知財重要) は、弁護士レビュー(1 回 5〜10 万円)の費用対効果が高い。
実務 Tips
- 電子契約を使う: クラウドサイン / freee サイン / GMO サインなど。印紙税が不要になる
- 改定履歴を残す: 修正提案は朱書き / コメントで残し、合意プロセスを明確化
- 法人化後の契約者名義変更: 個人 → 法人へ切替時は 基本契約の巻き直し が必要
- 覚書 / 個別契約書 を活用して都度の発注内容を明確化
まとめ
- まず 準委任 vs 請負 を理解、可能なら準委任で受ける
- 守るべきは 業務範囲 / 報酬 / 権利 / 賠償上限 / 解除 / 秘密保持 / 競業避止 の 7 項目
- 2024 年フリーランス新法で 60 日以内支払い が義務化
- 重要案件は弁護士レビューで保険をかける
- ひな形は叩き台にしつつ、自分の立場に合わせて改修