税務・会計
法人税の基礎知識|個人事業の所得税と何が違うか
法人税・住民税・事業税の 3 種類と税率、所得税との計算方法の違い、中小法人の軽減税率まで初学者向けに整理。
この記事で分かること
- 法人にかかる 3 種類の税金(法人税・住民税・事業税)の全体像
- 個人事業の所得税との計算方法の違い
- 中小法人に適用される軽減税率の仕組み
- 実効税率がよく言われる「約 33%」になる根拠
当記事は国税庁・東京都主税局等の公式情報を参照したリサーチベースの解説です。具体的な納税判断は税理士にご確認ください。
法人にかかる税金は大きく 3 種類
法人化すると、利益に対して課される税金は次の 3 つに整理できる。
| 区分 | 税金名 | 課税主体 |
|---|---|---|
| 国税 | 法人税 | 国 |
| 地方税 | 法人住民税 | 都道府県・市区町村 |
| 地方税 | 法人事業税 + 特別法人事業税 | 都道府県 |
これらをまとめた実質的な税負担率を「実効税率」と呼ぶ。
法人税の基本構造
課税対象
法人税は 「各事業年度の所得」 に対して課税される。所得は次の式で求める。
所得 = 益金 - 損金
会計上の「利益」と税務上の「所得」は完全には一致しない。例えば交際費の一部や減価償却の超過分などは損金不算入となり、税務上の所得が会計利益より大きくなることがある。
中小法人の軽減税率
資本金 1 億円以下の中小法人には、所得 800 万円以下の部分に 軽減税率 15%(本則は 23.2%)が適用される。
| 課税所得 | 法人税率 |
|---|---|
| 800 万円以下の部分 | 15% |
| 800 万円超の部分 | 23.2% |
法人住民税の構造
法人住民税は次の 2 つから成る。
- 法人税割: 法人税額に税率(合計約 7%)を掛けたもの
- 均等割: 資本金と従業員数に応じた定額(最低 年 7 万円)
均等割は 赤字でも必ず発生する。マイクロ法人で「赤字でも年 7 万円」と言われるのはこの均等割のこと。
法人事業税 + 特別法人事業税
事業税は所得に応じた累進的な税率(資本金 1 億円以下の中小法人で約 3.5〜7%)。 特別法人事業税は事業税の一部を国に上乗せ徴収するもので、事業税額に約 37% を乗じる。
合算すると所得に対して 約 7〜10% の負担になる。
実効税率「約 33%」の内訳
中小法人で課税所得が 800 万円超のレンジを想定した実効税率は次のように積み上がる(東京都・資本金 1 億円以下のモデル)。
| 内訳 | 実効負担 |
|---|---|
| 法人税 | 約 23% |
| 法人住民税(法人税割) | 約 1.6% |
| 事業税 + 特別法人事業税 | 約 7〜10% |
| 合計(実効税率) | 約 33% |
所得 400〜800 万円ゾーンでは軽減税率の影響で実効税率は 約 22〜24% まで下がる。
個人事業の所得税との違い
| 項目 | 個人事業(所得税) | 法人(法人税) |
|---|---|---|
| 税率の構造 | 累進課税 5〜45% | ほぼフラット 15 / 23.2% |
| 住民税 | 一律 10% | 法人税割 + 均等割 |
| 事業税 | 業種により 3〜5% | 約 7〜10% |
| 損失繰越 | 青色で 3 年 | 10 年 |
| 自分への給料 | 経費にできない | 役員報酬として経費化可 |
| 赤字時の最低負担 | 0 円 | 均等割 7 万円〜 |
所得が大きくなるほど 法人の方が税率の上限が低く有利、所得が小さいうちは 個人の方が累進率の下限が低く有利、というのが大原則。
いつから法人化が税負担で有利になるか
ざっくりした目安としては:
- 課税所得 〜400 万円: 個人の方が安い
- 課税所得 400〜800 万円: 拮抗、その他要素で判断
- 課税所得 800 万円〜: 法人化で軽減税率 15% が効き始める
- 課税所得 1,000 万円〜: 法人化の節税メリットが維持コストを十分上回りやすい
詳しい試算は 本サイトの法人化シミュレーター で自分の数字を当てはめるのが早い。
まとめ
- 法人にかかる税金は 法人税・住民税・事業税 の 3 種類
- 中小法人は所得 800 万円以下に 軽減税率 15%
- 実効税率は中小法人で 約 22〜33%
- 赤字でも均等割 年 7 万円 は必ず発生
- 所得 800 万円超で個人より法人の方が税率上有利になりやすい