税務・会計

法人税の基礎知識|個人事業の所得税と何が違うか

法人税・住民税・事業税の 3 種類と税率、所得税との計算方法の違い、中小法人の軽減税率まで初学者向けに整理。

公開: 2026/4/27本記事には広告 (PR) を含みます

この記事で分かること

  • 法人にかかる 3 種類の税金(法人税・住民税・事業税)の全体像
  • 個人事業の所得税との計算方法の違い
  • 中小法人に適用される軽減税率の仕組み
  • 実効税率がよく言われる「約 33%」になる根拠

当記事は国税庁・東京都主税局等の公式情報を参照したリサーチベースの解説です。具体的な納税判断は税理士にご確認ください。

法人にかかる税金は大きく 3 種類

法人化すると、利益に対して課される税金は次の 3 つに整理できる。

区分税金名課税主体
国税法人税
地方税法人住民税都道府県・市区町村
地方税法人事業税 + 特別法人事業税都道府県

これらをまとめた実質的な税負担率を「実効税率」と呼ぶ。

法人税の基本構造

課税対象

法人税は 「各事業年度の所得」 に対して課税される。所得は次の式で求める。

所得 = 益金 - 損金

会計上の「利益」と税務上の「所得」は完全には一致しない。例えば交際費の一部や減価償却の超過分などは損金不算入となり、税務上の所得が会計利益より大きくなることがある。

中小法人の軽減税率

資本金 1 億円以下の中小法人には、所得 800 万円以下の部分に 軽減税率 15%(本則は 23.2%)が適用される。

課税所得法人税率
800 万円以下の部分15%
800 万円超の部分23.2%

法人住民税の構造

法人住民税は次の 2 つから成る。

  • 法人税割: 法人税額に税率(合計約 7%)を掛けたもの
  • 均等割: 資本金と従業員数に応じた定額(最低 年 7 万円

均等割は 赤字でも必ず発生する。マイクロ法人で「赤字でも年 7 万円」と言われるのはこの均等割のこと。

法人事業税 + 特別法人事業税

事業税は所得に応じた累進的な税率(資本金 1 億円以下の中小法人で約 3.5〜7%)。 特別法人事業税は事業税の一部を国に上乗せ徴収するもので、事業税額に約 37% を乗じる。

合算すると所得に対して 約 7〜10% の負担になる。

実効税率「約 33%」の内訳

中小法人で課税所得が 800 万円超のレンジを想定した実効税率は次のように積み上がる(東京都・資本金 1 億円以下のモデル)。

内訳実効負担
法人税約 23%
法人住民税(法人税割)約 1.6%
事業税 + 特別法人事業税約 7〜10%
合計(実効税率)約 33%

所得 400〜800 万円ゾーンでは軽減税率の影響で実効税率は 約 22〜24% まで下がる。

個人事業の所得税との違い

項目個人事業(所得税)法人(法人税)
税率の構造累進課税 5〜45%ほぼフラット 15 / 23.2%
住民税一律 10%法人税割 + 均等割
事業税業種により 3〜5%約 7〜10%
損失繰越青色で 3 年10 年
自分への給料経費にできない役員報酬として経費化可
赤字時の最低負担0 円均等割 7 万円〜

所得が大きくなるほど 法人の方が税率の上限が低く有利、所得が小さいうちは 個人の方が累進率の下限が低く有利、というのが大原則。

いつから法人化が税負担で有利になるか

ざっくりした目安としては:

  • 課税所得 〜400 万円: 個人の方が安い
  • 課税所得 400〜800 万円: 拮抗、その他要素で判断
  • 課税所得 800 万円〜: 法人化で軽減税率 15% が効き始める
  • 課税所得 1,000 万円〜: 法人化の節税メリットが維持コストを十分上回りやすい

詳しい試算は 本サイトの法人化シミュレーター で自分の数字を当てはめるのが早い。

まとめ

  • 法人にかかる税金は 法人税・住民税・事業税 の 3 種類
  • 中小法人は所得 800 万円以下に 軽減税率 15%
  • 実効税率は中小法人で 約 22〜33%
  • 赤字でも均等割 年 7 万円 は必ず発生
  • 所得 800 万円超で個人より法人の方が税率上有利になりやすい