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法人化後の社会保険手続き完全ガイド|健康保険・厚生年金の加入から
法人化したら健康保険・厚生年金の加入は強制。役員 1 人法人でも必要な手続き、年金事務所への提出書類、保険料の決まり方を解説。
公開: 2026/4/27本記事には広告 (PR) を含みます
この記事で分かること
- 法人化したら社会保険加入が 強制 になる根拠
- 健康保険・厚生年金の加入手続き(年金事務所への提出書類)
- 役員 1 人法人でも必要な手続きの全体像
- 保険料が決まる仕組みと負担最小化の考え方
当記事は日本年金機構・全国健康保険協会(協会けんぽ)の公開情報を参照したリサーチベース解説です。具体的な手続きは社労士または年金事務所へご確認ください。
法人は人数に関係なく社保強制加入
健康保険法・厚生年金保険法上、法人は従業員数に関係なく強制適用事業所。 役員 1 人だけの法人でも、報酬を受け取る限り 健康保険 + 厚生年金 の加入が必須。
「マイクロ法人だから社保不要」は誤り。 唯一の例外は 役員報酬がゼロ の場合(その場合も健康保険は別途国保で対応する必要あり)。
必要な手続きと書類
設立後 5 日以内に提出するもの
1. 健康保険・厚生年金保険 新規適用届
提出先: 管轄の 年金事務所 添付書類:
- 法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書、原本またはコピー)
- 法人番号指定通知書のコピー(マイナンバーカードでも可)
- 賃貸借契約書(事業所所在地が登記と異なる場合)
2. 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
役員 / 従業員それぞれ 1 枚ずつ。 記載内容:
- 氏名 / 生年月日 / マイナンバー
- 報酬月額(標準報酬月額の決定根拠)
- 資格取得年月日(法人設立日 or 入社日)
3. 健康保険 被扶養者(異動)届
配偶者・子供などを扶養に入れる場合に提出。
- 続柄を証明する書類(戸籍謄本 / 住民票)
- 収入要件を証明する書類(年収 130 万円未満の証明)
雇用保険・労災保険(従業員雇用時)
役員のみの法人では不要。 従業員を 1 人でも雇用したら 以下を労働基準監督署 / ハローワークへ:
- 労働保険関係成立届
- 概算保険料申告書
- 雇用保険適用事業所設置届
- 雇用保険被保険者資格取得届
標準報酬月額と保険料の決まり方
標準報酬月額とは
社会保険料を計算する基準額。実際の給与をそのまま使うのではなく、決められた等級表に当てはめて算出。
役員報酬での決定タイミング
- 設立時: 第 1 期の役員報酬決定時に標準報酬月額が決まる
- 定時決定(算定基礎届): 毎年 4〜6 月の平均報酬で 9 月以降の標準報酬月額を決定
- 随時改定(月額変更届): 役員報酬を 2 等級以上変更した場合
標準報酬月額別の保険料目安(協会けんぽ・東京・2026 年)
| 標準報酬月額 | 健保 + 厚年(労使合計) | 個人負担 |
|---|---|---|
| 88,000 円(最低等級) | 約 25,000 円 | 約 12,500 円 |
| 134,000 円 | 約 38,000 円 | 約 19,000 円 |
| 220,000 円 | 約 63,000 円 | 約 31,500 円 |
| 410,000 円 | 約 117,000 円 | 約 58,500 円 |
| 650,000 円 | 約 185,000 円 | 約 92,500 円 |
労使折半とはいえ、マイクロ法人では 労使ともに代表者が支払う ので実質全額負担。
保険料負担を最小化する考え方
役員報酬を低く設定する「マイクロ法人スキーム」
- 役員報酬を 月 4.5〜10 万円 に抑える
- 標準報酬月額は最低等級(88,000 円)に近づく
- 個人 + 法人合わせて 月 25,000 円程度 に圧縮
この戦術のトレードオフ
- 厚生年金額が将来低くなる
- 個人の所得税・住民税は減る
- 法人の利益が大きくなり法人税が増える
- 法人留保 → 退職金で取り出す設計が必要
配偶者を被扶養者にする
- 配偶者の年収を 130 万円未満に抑える
- 配偶者は社会保険料負担なしで健康保険・国民年金第 3 号被保険者の扱い
- 世帯全体の社会保険料を圧縮
個人事業を併用する
- 法人で社保最低限を確保
- 別事業を個人事業(青色申告)で運営
- 「法人 + 個人事業」二刀流で所得分散
ただし税務署 / 社保事務所からの目線で 業務実態の整合性 が必須。 税理士 / 社労士に事前相談しないと否認リスク。
加入後の継続的な手続き
毎年必要
- 算定基礎届(毎年 7 月初旬まで): 4〜6 月の報酬平均で標準報酬月額を見直し
- 賞与支払届: 賞与を支払った都度(事前確定届出給与の届出も)
必要時
- 月額変更届: 役員報酬を 2 等級以上変更した場合
- 被扶養者異動届: 配偶者の収入変動・出産・離婚など
- 資格喪失届: 退任・退職時
毎月必要
- 保険料の納付(口座振替が便利)
- 給与計算ソフトでの保険料控除
設立 1〜2 年目の社労士活用
社会保険手続きは初年度に詰まりやすい。
- 設立スポット契約: 3〜10 万円
- 顧問契約(年金事務所対応含む): 月 1〜2 万円
設立直後に手続きを社労士に任せて、運用ルートが固まったら自社で回すパターンが多い。
まとめ
- 法人は 役員 1 人でも社保加入強制
- 設立 5 日以内に 新規適用届 + 資格取得届 を年金事務所へ
- 保険料は 標準報酬月額 で決まる
- マイクロ法人スキームで 月 25,000 円 まで圧縮可能
- 配偶者扶養 / 個人事業併用で世帯全体の負担最適化
- 設立初年度は社労士スポット利用が安全