法人化判断
法人化のメリット・デメリット|売上 1000 万を超えたらまず読む
節税・信用・社保加入など法人化メリット 8 つと、設立コスト・社保負担増・赤字でも均等割など現実的なデメリット 6 つを整理。
この記事で分かること
- 法人化のメリット 8 つ
- 法人化のデメリット 6 つ
- 売上 1,000 万円ライン前後で何が変わるか
- 「法人化すべき人」の条件
当記事は国税庁・厚生労働省等の公式情報を参照したリサーチベースの解説です。個別判断は税理士にご確認ください。
法人化のメリット 8 つ
1. 所得分散による節税
個人事業主は最高税率 55%(所得税 45% + 住民税 10%)。 法人化して役員報酬として家族に分散すれば、各人の累進税率が下がり総税負担を圧縮可能。
例: 課税所得 1,500 万円を 1 人で受けるか、夫婦 750 万円ずつ分けるかで税負担が 数十万円〜100 万円規模 で変わる。
2. 法人税率が累進ではない
| 課税所得 | 個人事業の所得税率(住民税込) | 中小法人の実効税率 |
|---|---|---|
| 〜400 万円 | 約 25% | 約 22% |
| 〜800 万円 | 約 35% | 約 24% |
| 〜1,800 万円 | 約 43% | 約 35% |
| 1,800 万円超 | 約 50%〜 | 約 35% |
所得が大きくなるほど 法人の方が圧倒的に有利。
3. 役員報酬を経費化できる
個人事業主は自分への給料を経費にできない。 法人化すれば役員報酬は法人の経費 → 法人税圧縮 + 給与所得控除(最大 195 万円)も使えて二重メリット。
4. 退職金制度を活用できる
役員退職金は 税制上の優遇 が大きい:
- 退職所得控除(勤続年数 × 40〜70 万円)
- 1/2 課税
- 分離課税
10 年勤続なら退職金 800 万円まで非課税枠あり。
5. 消費税の免税期間が再び使える
個人事業で課税事業者になっていても、法人化すれば 設立後 2 年間は消費税免税(資本金 1,000 万円未満かつ特定要件を満たす場合)。 法人化のタイミング次第で 2 年分の消費税を節約できる。
6. 社会的信用が増す
- 法人口座開設、法人クレカ取得
- 大企業との取引に通りやすくなる
- 賃貸オフィス契約・融資審査での信用度アップ
7. 社会保険加入で保障が手厚くなる
国民年金 → 厚生年金になり将来の年金額が増える。 健康保険も国保(自己負担多め)から協会けんぽ(労使折半)に。 ただし保険料の絶対額は増える点には注意。
8. 損失の繰越が 10 年に伸びる
個人事業の青色申告: 損失繰越 3 年。 法人: 損失繰越 10 年。
赤字を将来の黒字と相殺できる期間が長くなる。
法人化のデメリット 6 つ
1. 設立費用がかかる
合同会社で約 6 万円、株式会社で約 20 万円。 無料設立ツール経由でも法定費用は必須。
2. 維持コストがかかる
- 法人住民税均等割: 赤字でも 年 7 万円〜
- 会計ソフト: 年 3〜5 万円
- 税理士顧問料: 月 2〜5 万円(年 24〜60 万円)
- 株式会社なら決算公告費 6 万円/年
赤字でも年 30〜50 万円 の維持費は発生する。
3. 社会保険料が増える
役員 1 人法人でも社会保険加入は義務。 役員報酬を高く設定すると、健康保険 + 厚生年金 + 介護保険で 約 30% が保険料として消える。 個人事業の国保 + 国民年金より絶対額は増えやすい。
4. 役員報酬は事業年度ごとに固定(定期同額給与)
法人税法上、役員報酬は事業年度開始から 3 ヶ月以内に決めて、その後は変えられない(定期同額給与)。 売上が急変動する業種では資金繰りが苦しくなる可能性。
5. 廃業時の手続きが煩雑
法人を畳むには:
- 解散決議 + 解散登記
- 清算人選任 + 清算
- 清算結了登記
- 約 1 年・約 7〜10 万円の費用
個人事業の廃業届 1 枚提出と比べると重い。
6. 経理・税務の難易度が上がる
法人会計は複式簿記必須、決算書も法人特有の項目が多い。 税理士なしでの運営は非現実的なケースが多く、税理士費用が固定で発生 する前提で考える必要。
売上 1,000 万円ライン前後で変わること
売上 1,000 万円超の影響
- 個人事業主のままだと 2 年後から消費税課税事業者
- 法人化すれば設立後 2 年は再び免税の可能性あり
- インボイス制度下では適格請求書発行事業者登録の判断と絡む
法人化検討の現実ライン
- 課税所得 800 万円超 で法人化検討開始(法人税の軽減税率 23.2% 化)
- 課税所得 1,000 万円前後 が損益分岐点(節税効果と維持費が釣り合う)
- 売上 1,000 万円超 は消費税の観点から法人化を後押し
法人化すべき人の条件
以下を 3 つ以上満たす なら法人化の検討価値が高い:
- 課税所得が 800 万円以上ある
- 売上が 1,000 万円超を継続中(消費税回避メリット)
- 配偶者や家族と所得分散したい
- 退職金準備をしたい
- 社会的信用を上げたい(大企業取引・融資)
- 厚生年金で将来年金を増やしたい
- 数年単位で事業継続の意思がある
法人化を急がなくていい人
- 課税所得 500 万円未満
- 単発・短期・副業中心の収入構造
- 家族と所得分散する必要がない
- 配偶者の扶養に入っている
まとめ
- 法人化のメリットは 節税 + 信用 + 保障 + 退職金準備 の 4 軸
- デメリットは 設立費 + 維持費 + 社保増 + 廃業煩雑 の 4 軸
- 課税所得 800 万円・売上 1,000 万円が目安
- まずは 本サイトの法人化シミュレーター で自分の数字を試算するのが先決