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開業届

フリーランスの開業届テンプレート|職業・事業概要の書き方例

フリーランスが迷う「職業」「事業の概要」欄の書き方を、Web エンジニア・ライター・デザイナー等の職種別に例文で解説。

公開: 2026/4/27本記事には広告 (PR) を含みます

この記事で分かること

  • 開業届で迷う 「職業」「事業の概要」「屋号」 欄の書き方
  • 職種別の記入例(Web エンジニア・ライター・デザイナー・コンサル・動画クリエイター・イラストレーター・翻訳・物販 等 10 職種以上)
  • 個人事業税の 業種区分(70 業種) による税率の違いと書き方の工夫
  • 屋号の決め方の基本ルール(重複・商標・法人誤認の回避)
  • 「事業の概要」を書く際の 3 つのコツ(具体性・顧客層・取引方法)
  • 記入時のよくあるミス 5 例(抽象語・業種誤判定・屋号無記入 等)
  • FAQ:複数業種の場合・屋号変更・後から職業欄を変えたいとき
  • 公式情報源 7 件(国税庁・東京都主税局・各都道府県税事務所 等)

当記事は国税庁・地方税法・東京都主税局・各都道府県税事務所等の公式情報を参照したリサーチベースの解説です。個人事業税の業種判定は最終的に都道府県税事務所の判断によります。最終的な記入内容は税務署または税理士・税務署にご確認ください。

開業届で迷う 3 つの欄

開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)の記入欄 11 項目のうち、「職業」「事業の概要」「屋号」 の 3 欄は記入の自由度が高く、最も迷うポイント。所得税法 第 229 条 には記載事項として「事業の種類、所得の種類、納税地、屋号その他参考となるべき事項」とあるだけで、具体的な書き方はガイドされていません。

ただしこの 3 欄の書き方が以下に直結するため、適当に書くと後で困ります。

  • 個人事業税の業種区分判定(地方税法 72 条の 2)→ 税率 3% / 4% / 5% / 非課税が変わる
  • 屋号付き銀行口座開設可否(屋号欄の有無で分岐)
  • インボイス登録時の「課税事業者の事業内容」記載との整合性

順に解説します。

個人事業税の業種区分別 税率(地方税法 72 条の 2)
第1種事業(物販・飲食・請負 等)
5%
第3種事業(コンサル・デザイン業 等)
5%
第2種事業(畜産・水産・薪炭製造)
4%
あん摩・マッサージ・はり・きゅう
3%
区分外(文筆業・SE/プログラマ 等)
非課税
職業欄の書き方で業種区分=税率が変わる。区分外は非課税出典: 地方税法 第72条の2・東京都主税局、本文より

「職業」欄の書き方

抽象的な書き方は避ける

NG 例:

  • 「自営業」
  • 「フリーランス」
  • 「IT 関連」
  • 「副業」
  • 「クリエイティブ業」

これらは 業種不明 として地方税事務所から問い合わせが来ることがあり、個人事業税の判定に時間がかかります。

OK 例(具体的に書く):

  • 「Web エンジニア(受託開発)」「Web デザイナー」
  • 「ライター業」「Web ライター」「編集業」
  • 「税理士業」「行政書士業」「司法書士業」
  • 「経営コンサルタント業」「IT コンサルタント業」
  • 「物品販売業(ネットショップ運営)」「飲食業」

個人事業税の主要業種区分・税率(地方税法 72 条の 2)

個人事業税は 地方税法 第 72 条の 2 に基づき、都道府県が課税します。法定 70 業種 に該当すると年 290 万円超の事業所得(事業主控除後)に税率 3-5% で課税されます。

区分業種例税率
第 1 種事業(37 業種)物品販売業・製造業・印刷業・運送業・不動産貸付業・飲食業・旅館業 等5%
第 2 種事業(3 業種)畜産業・水産業・薪炭製造業4%
第 3 種事業(30 業種)医業・歯科医業・薬剤師業・税理士業・弁護士業・公認会計士業・コンサルタント業・デザイン業・歯科衛生士業 等5%
第 3 種事業(一部)あん摩・マッサージ・はり・きゅう、装蹄師業3%
業種区分外文筆業・著述業・SE / プログラマー(一部)・芸術業 等非課税

業種判定の揺れに注意

以下の業種は 法定 70 業種に明記されていない ため、自治体により判定が揺れます。

  • 文筆業・ライター業・著述業
  • イラストレーター・デザイナー(一部)
  • システムエンジニア・プログラマー
  • 翻訳業・通訳業
  • 漫画家・脚本家・作詞家・作曲家

これらは 非課税 とされるケースが多い一方、東京都など一部自治体では「請負業として第 1 種 5%」「コンサルタント業として第 3 種 5%」と判定する事例も。

東京都主税局:個人事業税の対象業種 で職業ごとの税率を確認できます。迷う場合は 所轄都道府県税事務所への事前確認 が安全。

職種別の記入例(11 職種)

1. Web エンジニア・プログラマー

職業: Web エンジニア
事業の概要: Web アプリケーションの設計・開発・保守、
            技術コンサルティング業務

業種区分: 法定業種に「ソフトウェア開発」は明記されていないため 非課税 とされるケースが多い(東京都は非課税扱い)。ただし「請負業」として第 1 種事業 5% とされる地域もあり、要確認。

2. Web デザイナー・グラフィックデザイナー

職業: Web デザイナー
事業の概要: 企業 Web サイト・ランディングページのデザイン制作、
            UI/UX 設計、ロゴ・グラフィック制作

業種区分: デザイン業(第 3 種事業 5%) に該当する判定が多い。

3. ライター・編集者

職業: ライター業
事業の概要: Web メディア・書籍向けの取材執筆、編集業務、
            技術解説記事および取材記事の制作

業種区分: 文筆業・著述業として非課税 が一般的(東京都・大阪府等で確認)。ただし「ジャーナリスト」「編集業」とすると第 3 種 5% 課税対象になる場合あり。

4. 動画クリエイター・YouTuber

職業: 動画クリエイター
事業の概要: YouTube・SNS 向け動画コンテンツの企画・撮影・編集、
            広告収益事業、企業向け PR 動画制作

業種区分: 広告業(第 1 種 5%) または「映画・演劇等の興行業(第 1 種 5%)」と判定される事例。動画制作のみなら「請負業」扱いで第 1 種 5%。

5. 経営コンサルタント

職業: 経営コンサルタント
事業の概要: 中小企業向け事業戦略立案・業務改善コンサルティング、
            DX 導入支援、マーケティング戦略策定

業種区分: コンサルタント業(第 3 種事業 5%) に該当(地方税法 72 条の 2 第 10 項第 30 号)。

6. IT コンサルタント

職業: IT コンサルタント
事業の概要: 企業向け IT 戦略立案、システム導入支援、
            業務プロセス改善コンサルティング

業種区分: コンサルタント業(第 3 種 5%) 該当。エンジニアと両立する場合は「IT コンサルタント業 兼 受託開発業」のように併記もあり。

7. イラストレーター

職業: イラストレーター
事業の概要: 書籍・雑誌・Web メディア向けイラスト制作、
            キャラクターデザイン、ライセンス供与

業種区分: デザイン業(第 3 種 5%) とされるケース、画家として非課税 とされるケース両方あり。請負中心ならデザイン業判定が多い。

8. 翻訳・通訳

職業: 翻訳業
事業の概要: 英日・日英の技術文書・ビジネス文書翻訳、
            通訳業務、字幕翻訳

業種区分: 法定業種に明記なし で、非課税 とされるケースが多い。ただし「翻訳業」を「文筆業」として扱う自治体と、「請負業」として課税する自治体に分かれる。

9. 物販・ネットショップ

職業: 物品販売業(ネットショップ運営)
事業の概要: ネットショップを通じた雑貨・アパレル商品の小売、
            イベント出店による対面販売、卸売

業種区分: 物品販売業(第 1 種 5%) に明確に該当(地方税法 72 条の 2 第 10 項第 1 号)。

10. カメラマン・フォトグラファー

職業: 写真撮影業
事業の概要: ウェディング・家族写真の撮影、
            企業向け広告写真撮影、商品撮影

業種区分: 写真業(第 1 種 5%) 該当(地方税法 72 条の 2 第 10 項第 35 号)。

11. 整体・あん摩

職業: あん摩マッサージ指圧師業
事業の概要: あん摩・マッサージ・指圧の施術、
            整体院運営

業種区分: あん摩・マッサージ等(第 3 種 3%) に該当(地方税法 72 条の 2 第 10 項第 32 号)。唯一の 3% 区分 で他業種より優遇。

「事業の概要」欄の書き方

職業欄を補足する形で、より具体的に書きます。

書き方の 3 つのコツ

  1. 具体的なサービス内容 を 2-3 個並列で書く(一文目)
  2. 顧客層 が分かる場合は触れる(例: 中小企業向け / 個人向け / BtoB)
  3. 取引方法 が特殊なら明記(例: 業務委託契約による役務提供、ライセンス供与)

良い例 vs 悪い例

悪い例良い例
「IT 関連業務」「Web アプリケーションの設計・開発・保守、技術コンサルティング業務」
「クリエイティブ業」「動画コンテンツの企画・撮影・編集、SNS 運用代行」
「コンサル業」「中小企業向け事業戦略立案・業務改善コンサルティング、DX 導入支援」
「販売業」「ネットショップを通じた雑貨・アパレル商品の小売、卸売」

複数業種を兼業する場合

複数業種を兼業する場合は、メイン業種を先に 書き、サブ業種を後ろに並列。

職業: Web エンジニア 兼 IT コンサルタント
事業の概要: Web アプリケーションの設計・開発、
            中小企業向け IT 戦略立案コンサルティング、
            技術ブログ執筆業

個人事業税は 業種ごとに別計算 されるので、兼業の場合は事業概要を明確に分けて書くと判定がスムーズ。

屋号の決め方

屋号は任意項目

屋号欄は 書かなくても OK。ただし以下の場合は最初から決めておくと便利です。

  • 屋号付き銀行口座 を作りたい
  • 名刺・請求書 を屋号で出したい
  • 将来法人化 する際にブランド継続したい
  • インボイス登録 で「事業者の氏名又は名称」に屋号を含めたい

屋号の基本ルール(4 点)

  1. 重複制限なし: 同じ屋号の人がいても OK(商号登記しない限り法的保護も無い)
  2. 法人と誤認させる名称は使えない: 「株式会社」「合同会社」「Co., Ltd.」「Inc.」「Corporation」等の法人格を含む名称は 会社法 7 条 および 商業登記法 27 条 により法人以外は使用不可
  3. 商標権侵害に注意: 既に商標登録されている名称を屋号に使うと商標権侵害のリスク。事前に J-PlatPat 商標検索 で確認
  4. 後から変更可能: 確定申告書に新しい屋号を書けば反映される(変更届の提出は不要)

屋号例(タイプ別)

タイプ
一般名詞型「○○ Studio」「○○ Lab」「○○ Office」「○○ Works」
業種特化型「○○ Design」「○○ Code」「○○ Tech」「○○ Media」
古典的・親しみ型「○○商店」「○○屋」「○○堂」
個人名 + 業種「○○ デザイン事務所」「山田税理士事務所」

法人格を誤認させる NG 例

  • 「○○ 株式会社」「○○ 合同会社」「○○ Co., Ltd.」「○○ Inc.」「○○ Corporation」「○○ K.K.」

これらは 会社法 第 7 条 および 商業登記法 第 27 条 により、法人以外が使用すると 過料 100 万円以下 の対象。

会社でない者は、その名称又は商号中に、会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。 (会社法 第 7 条)

よくある記入ミス 5 例

ミス 1:職業欄を「フリーランス」「自営業」と書く

最も多いミス。業種不明で都道府県税事務所から問い合わせが来ます。「Web エンジニア」「ライター業」「物品販売業」 など具体的な業種名を書きます。

ミス 2:個人事業税の業種判定を考慮せずに書く

例えば「IT エンジニア(コンサルティング含む)」と書くと、コンサルタント業(5% 課税) と判定される可能性。受託開発がメインなら「Web エンジニア(受託開発)」と書く方が非課税判定を取りに行きやすい(自治体によります)。

ミス 3:屋号を「未定」と書く

屋号未定なら 空欄 にします。「未定」と書くと屋号が「未定」で登録される可能性があり、後で口座開設時に困ります。

ミス 4:事業の概要に法令違反業種を書いてしまう

無許可営業が必要な業種(例: 飲食業 → 食品衛生法、古物商 → 古物営業法、建設業 → 建設業法)を、許可未取得のまま事業概要に書いてしまう例。

回避策: 許認可が必要な業種は 許可取得後に開業届を出す

ミス 5:法人格を匂わせる屋号を使う

「○○ Co., Ltd.」「○○ Inc.」など法人格を匂わせる屋号は 会社法 7 条違反 で過料対象。海外風の屋号にしたい場合は「○○ Lab」「○○ Studio」「○○ Office」など法人格を匂わせない表記を選びます。

このテーマのQ&A

Q1. 複数業種を営む場合、職業欄はどう書きますか?

A. メイン業種を先に書き、サブ業種を「兼」で並列 します(例: 「Web エンジニア 兼 IT コンサルタント」)。事業の概要欄でそれぞれの業務内容を分けて記載。個人事業税は業種ごとに別計算されるので、明確に分けると判定がスムーズ。

Q2. 後から職業欄や事業の概要を変えたいときは?

A. 確定申告書に新しい職業・事業の概要を記載 すれば事実上反映されます。変更届の提出は不要。ただし業種が大きく変わる場合(例: ライター業 → 飲食業)は所轄税務署と都道府県税事務所への報告を推奨。

Q3. 屋号を後から変更するには?

A. 確定申告書に新屋号を書く だけで反映されます。屋号付き銀行口座を持っている場合は、銀行側で別途屋号変更手続きが必要(多くの銀行で開業届の控え再提出を求められる)。

Q4. 屋号と商標を一緒に取った方がいいですか?

A. ブランドとして守りたいなら商標登録を検討。商標権 は登録から 10 年間有効(更新可)、出願料 12,000 円 + 1 区分 8,600 円 + 登録料 32,900 円 / 10 年(特許庁公式料金)。屋号だけでは法的保護なし。

Q5. 個人事業税が非課税になる職種か事前に確認したいです。

A. 各都道府県税事務所に 業種判定の事前照会 が可能。書面または窓口で「○○業として開業予定だが、第何種事業に該当するか」を確認できます。東京都の場合は 東京都主税局 都税事務所 へ。

Q6. 副業で開業届を出す場合、職業欄は本業を書くのですか?

A. 副業のみを書きます。開業届は副業(個人事業)の開業を届け出るもの。本業(給与所得)は記載対象外。

Q7. 屋号で名刺や請求書を作りたいのですが、注意点は?

A. 屋号は法的保護がない ため、同名の屋号を後から名乗られても止められません。ブランドを守りたいなら商標登録または法人化(商号登記)を検討。請求書には「屋号 + 個人名」を併記するのが安全(インボイス登録時の事業者名と整合させる)。

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要点の振り返り

  • 「職業」欄は 抽象語を避けて具体的に。業種により個人事業税が 0% / 3% / 4% / 5% と変わる
  • 「事業の概要」は 具体サービス + 顧客層 + 取引方法 の 3 軸で 1〜2 行
  • 屋号は任意だが、口座 / 名刺 / 法人化を見据えるなら決めておく
  • 法人格を匂わせる屋号(株式会社・Co., Ltd. 等)は 会社法 7 条違反
  • 個人事業税が非課税になる職種かは 自治体判断の余地 あり、事前確認推奨
  • 商標権侵害を避けるため、屋号決定前に J-PlatPat で商標検索

参考資料